フランチャイズビジネスは独立開業としては参入障壁が低く、経験や資金が少ない人でも開業しやすいというメリットを有しています。
ところが、その反面自身以外の人が後から参入してくる可能性も高いわけですから、近くに他の加盟店が出店してきて競合してしまうケースも珍しくありません。せっかく順調に売上げを伸ばしていてもこうしたケースで経営が傾いてしまっては、加盟店としては非常に大きな後悔を残します。
そこでフランチャイズ契約の締結時に注意したいポイントが、「テリトリー制」です。
1 テリトリー制の魅力
文字通り、店舗所在地から一定の範囲内において他の加盟店の出店を行わないという約束を本部と交わす契約ですから、テリトリー制を導入しているフランチャイズ契約ならば上記のリスクを避けることが可能です。
ただし、範囲の広さはフランチャイズ運営本部によってそれぞれ違いますし、出店の地域によっても大きく変動します。
とても狭い範囲のテリトリーしか認めていない契約もありますし、別途有料制でテリトリーを認める契約内容も存在している為、希望する場合は他の類似のFC本部との比較検討は欠かせません。
2 オープンテリトリーによる自由競争
近年、オープンテリトリーと呼ばれる、テリトリー権を認めていないフランチャイズも増加傾向にあります。
テリトリー権は加盟店にとって競合店舗の登場を抑えるメリットがある反面、出店件数の抑制に繋がり、フランチャイズ本部にとってはメリットばかりとは限りません。
したがって、契約内容からテリトリーに関する権利を排除して自由競争を促すフランチャイズも数としては決して少なくないのです。
ところが、オープンテリトリーだからといって必ず失敗するわけではありません。
市場競争の激化はサービスの向上に繋がりますし、他のFC本部を利用した同業他社との競争に対しても強くなります。オープンテリトリー制で大きな成功を成し遂げたフランチャイジーも珍しくありませんから、テリトリーがないというだけで契約を踏みとどまるのも考え物です。
3 加盟店は抑制するが、直営店は可とするケース
テリトリー権に関する取り決めは業者によって様々なルールが存在します。
例えば、テリトリー圏内による出店を一切認めないという強固なものから、数店舗までは可とする緩やかなものまで様々です。
中でも、特に注意しておきたい点が直営店の出店に関する取り決めです。テリトリー権に関して、他の加盟店の出店は制限するがFC本部による直営店の出店は可とする契約も存在するのです。
FCにより開業する方の多くは業界未経験者ですから、近隣直営店の登場は大きな脅威となりかねません。その為、この点に関しても注意が必要です。